住まいと暮らしのQ&A

「景観」と「防犯」から考える外構計画

外構計画を立てる際、近年では植樹をするかどうかで悩む方も増えています。
草取りや水やりなどのメンテナンスが手間と感じ、何も植えないか、人工芝やコンクリートなど本物に近い人工素材で仕上げる方もいます。
予算の都合で外構を最低限に抑え、後から自分で手を加える楽しみとして後回しにするケースもあるでしょう。

ここで考えたいのは「景観」と「防犯」についてです。

「景観」について
まず「景観」についてです。庭に草木を植えることでしか得られないこともあります。
新築の記念として植えた木が、子どもと共に成長し、陰影を生みます。鳥や蝶の憩いの場になり、葉擦れの音や蝉時雨、虫の音で季節を感じられます。
咲く花がご近所との会話のきっかけになり、水たまりに映る月に風情を感じることもあります。
また、適度に視線を遮り、地域と柔らかくつながる効果もあります。
道路から玄関ドアまでを歩くあいだに仕事モードをONからOFFへと切り替えができ、リラックスと安らぎを与えます。

「防犯」について
次に「防犯」についてです。令和5年度は前年と比べて発生件数が増加した空き巣被害。防犯カメラや防犯ライトの設置、音が鳴る玉砂利の敷設、電柱や樹木、カーポートやストッカーを通じた侵入を防ぐ配置設計など、不審者の侵入を防ぐ対策も重要です。
また、地震によるブロック塀の倒壊、強風でテラス屋根のポリカーボネートや植木鉢の飛散など、近隣の住民や家屋や車に被害を与えないよう配慮も欠かせません。

家と共に庭がある「家庭」という文字からもわかるように、庭は家から切り離せない、切り離したくないものです。外から家を考え、家から外を考え、その家でどのような家族を築いていくかを想像しながら外構を計画したいものです。上質で豊かな時間と空間を得るためには、お金をかけるだけでなく、知恵を使った設計をしていきたいものです。