住まいと暮らしのQ&A

地震、豪雨、猛暑という複合災害に私たちはどう立ち向かうか、能登豪雨から考える

2024年9月21日線状降水帯が発生し特別警報が発令された、能登地方を中心に記録的な大雨となった「能登豪雨」。
1月1日の能登半島地震からの復興が進む中、奥能登を襲ったこの甚大な災害は、土砂崩れや河川の氾濫により大きな被害をもたらしました。
2日間で平年9月の2倍以上の降雨があり、浸水地域が広がりました。地震によって堤防が沈下しており、その影響で越水してしまった箇所もあるようです。

山や川の石や土砂が大量の水とともに押し寄せる「山津波」

大規模な河川がない地域で、23の中小河川が氾濫しました。中小河川は処理できる水量に限りがあるため、豪雨の際にはすぐに水位が上昇します。また、これらの河川は住宅地を流れているため、異変を感じてから逃げるのでは遅く、時間的余裕がありません。

「山津波」とも言われる現象では、山や川の石や土砂が大量の水とともに津波のように押し寄せます。倒木が橋に掛かり、流れをせき止めて河川を氾濫させ、普段とは異なる場所に水の流れを作り出すこともあります。
「我が家は大丈夫」という想定を超える状況が発生するのです。

46か所もの孤立集落が発生し、停電が2,340戸、断水が5,060戸に及びました(石川県HP、北陸電力HPより)。また、携帯電話のサービスが使えない状況も発生しています。地震に次いで、再度自衛隊の派遣が要請されました。

能登半島地震の仮設住宅45か所のうち、10か所でも浸水被害が起きています。地震後、迅速な対応が求められる中、山間部が多く平地が少ないため、用地の確保が難しかったことから、仮設住宅のおよそ6割がハザードマップで浸水想定区域に指定されている地域に建てられています。
仮設団地内の掲示板には、洪水と土砂災害のハザードマップが掲示されていました。入居の際には、避難経路の案内も行われていましたが、地震で家を失い、さらに豪雨で仮設住宅を失うという、「二度も住処を失った」「心が折れる」という声に胸が痛みます。

今後、家屋の清掃では、目や口を保護するためにゴーグルやマスクの着用、怪我防止のために手袋や厚底の靴を履くなど、衛生面に十分注意が必要です。また、土間や窓を開けて換気を行い、感染症予防のための消毒も欠かせません。10月の記録的な暑さが、復旧作業をさらに妨げています。

地震、豪雨、猛暑という複合災害に私たちはどう立ち向かい、どのように援助し、備えるべきでしょうか。我が家の防災力を高める必要があります。公助や共助の前に、自助をもっと考えていかなくてはなりません。