住まいと暮らしのQ&A

南海トラフ地震臨時情報をきっかけに考える、地震に強い住まいとは

宮崎県沖で最大震度6弱を観測した8月8日、初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。これを受け、防災グッズや水、簡易トイレ、米、トイレットペーパーなどが品薄になっています。

特にお米は日常生活への影響が大きいく、政府の備蓄米の放出を要請する自治体もありますが、もうすぐ新米の季節を迎えます。もし今、備蓄米を放出すれば、新米の価格が下がってしまいます。また、小売業が古米の在庫を抱えるリスクも生じます。さらに、台風10号の影響で稲刈り、稲そのものに被害があったのかが、とても気になります。

このような事態は、日頃の防災意識の不足が原因ですので、この機会にしっかりと備えましょう。我が家の耐震性能や家具の転倒防止対策ができているか、再確認も必要です。

地震に強いとされ、最近注目されている平屋。

最近注目されている平屋が、なぜ地震に強いとされているのでしょうか。
まず、平屋は2階建て以上の住宅に比べて建物の重さが軽いため、地震の衝撃が少ないことが挙げられます。次に、高さがないため変形量が少なく、揺れにくい点も強みです。重心が低く、建物自体が軽いことが地震に対して有利なのです。
例えるなら、赤ちゃんが転びやすいのは頭が重く、足腰が未発達な歩き始めの時期であるのに対し、ハイハイの時には転ばない、ということに似ています。さらに、廊下や階段といった通路が不要なため、効率の良い設計が可能で、総予算を抑えることもできます。これが、平屋が人気である理由の一つです。

子育て期や熟年期において、家事が同じフロアで完結するため、無駄な動きが少なく、身体への負担も減ります。また、つかず離れずの距離感が心地よい家族関係を築く助けにもなります。空調効率が良いため、光熱費の負担も軽くなり、家計にも優しいのも平屋の特徴のひとつです。

リフォームでは、2階の主寝室を1階に移動してワンフロアでの生活を実現する「シニアリフォーム」のニーズが高まっています。
これは、子供たちが巣立ち、夫婦2人での暮らしでは、大きなスペースが不要になること。
上下階への移動が膝や腰に負担をかけ、転倒のリスクが高まるためです。特に上下階を移動しながらの掃除や家事がご負担を感じるようです。
このようなことから、実質的に2階建ての家を平屋に近い形にリフォームするケースが増えているのです。

「家は2階建てであるべき」という既成概念にとらわれない発想で考えると、平屋は合理的な点以外にもさまざまなメリットが見えてきます。「どのように暮らすか」を視点に考えてみることが大事だと思います。