住まいと暮らしのQ&A

迷走する台風と変化を実感する日本の夏から考える防災

9月1日の防災の日にも、各地で大雨をもたらした台風10号。8月25日の日曜日に列島縦断の恐れが報じられ、27日以降は警報級の暴風雨が予測されていました。しかし、当初の予想よりもはるかに西を進み、九州に上陸しました。四国、紀伊半島を経て日本列島に長く居座り、迷走した台風は過去に例があったでしょうか。

変化を実感する日本の夏に合わせた防災訓練を。

時間ごとに変わる予報円や、停滞や逆進の可能性が取り沙汰され、耳を疑う場面も多かったのも特徴的です。静岡、関東、東北、北海道では「遠隔豪雨」、「ゲリラ雷雨」、「線状降水帯発生注意」など、理解しづらい専門用語が飛び交いました。長期間にわたる降雨は、梅雨を超えるような1週間で、まるで熱帯雨林気候やスコール、雨期のように感じられました。

交通機関への影響も長引き、北陸新幹線は観光のみならず災害時の迂回ルートとしても活用されました。帰宅困難者も多く、地震だけでなく雨も大きな災害であることを実感させられました。今後、このような状況でどのように行動し、備えるべきかを、この防災の日に考えるべきです。

40度近い日中気温や、30度を下回らない熱帯夜は命の危険を伴います。そして進路予測が難しい超大型台風が到来する8月から9月は、これまでの慣習による行事や祭典に適さない季節となりつつあります。今までの夏とは異なる夏が訪れています。季節の大変革の時代に突入したと考えるべきかもしれません。

宮崎県沖で発生した最大震度6弱の地震を受け、「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表されました。新幹線も速度を落として走行し、海水浴場の閉鎖、花火大会の中止、避難場所を案内しながらの祭りの開催など、防災意識が高まりました。ホームセンターでは防災グッズが売れ、トイレットペーパーや米が不足するなど、日頃の備蓄の不十分さが露呈しました。しかし、防災意識が高まった中で迎えた台風10号が少しでも役立ったのは間違いないです。通勤が困難でも、新型コロナ禍で普及したリモートワークが、この災害時にも役立った人も多かったでしょう。一方で、観光業、輸送業、外食産業などがコロナ禍と同様に打撃を受けました。

行政、交通機関、会社、そして個人が有事に備えて早めに中止や延期、休暇を決断することは、たとえ結果が批判を受けることがあっても重要です。災害に備え、安全を確保し、忘却の繰り返しを断ち切り、常に備えておくこと。防災の日には、新しい防災訓練を考え、実行計画を考えてみてはいかがでしょうか。