2023年9月1日、防災の日に、内閣感染症危機管理統括庁が創設されたことをご存じでしょうか。この機関は内閣官房に設置され、内閣副官房長官がそのトップを務めます。
通常時には38人の専任職員が配置され、緊急時には101人に増員される体制です。つまり、政府主導で迅速な行動が可能な組織となっています。この機関は、縦割り行政の調整を主導する役割を果たしています。
災害時において、感染症やその他の健康リスクから身を守るために不可欠な水
もし今、災害が発生した場合、避難所での生活はどのような状況になるのか考えてみましょう。
新型コロナウイルスの影響により、人との接触が制限され、マスクの着用や手指の消毒が一般的になりました。そのため、さまざまなウイルスや病原菌に触れる機会が減少しました。ところが、これに伴い、ヘルパンギーナ、溶連菌、麻疹、ヒトメタニューモウイルスへの感染者が増加しているようです。
こうした感染症のリスクに晒されると、避難所で長期間過ごすことが感染爆発につながる可能性があると言えるでしょう。不安や高度なストレスにさらされると、免疫力が低下し、十分な食事が摂れないことから体力が衰えていくことも考えられます。また、薬剤や医療支援が届かなければ、生命の危険があるかもしれません。
新型コロナウイルスの影響下では、「3密」を避け、手指の消毒を徹底するよう呼びかけられました。災害時においても同様に、基本的な衛生対策は重要です。手指消毒用のアルコールの備蓄のほかに、歯磨き、のどの乾燥を予防する加湿器、薬の摂取、身体を拭く、など、飲料以外でもさまざまな場面で重要な役割を担う「水」の確保が、感染症やその他の健康リスクから身を守るために不可欠です。
しかしながら、スペースなどの制約から限界があることも事実です。そのため、個々の家庭や事業所で分散型の備蓄を行うことが必要です。地震や台風だけでなく、酷暑のような災害にも備えが必要です。
また、配水管が破損する断水だけではなく、水不足による水道の供給停止も想定しておく必要もあるでしょう。特に熱中症予防のためには水が不可欠です。
停電により扇風機やエアコンが使えない場合、昼間だけでなく、熱帯夜にも体調を崩すことがあります。したがって、水と電力の供給がない状況でどのように酷暑を過ごすかについても検討しておく必要があります。
空気や水、安全は何もかもが無料で提供されるものではありません。日常的に、個人個人が備えを整えておく必要があります。
消費期限を過ぎた水であっても、飲用には適さないかもしれませんが、トイレの排水や冷却用水、清掃用水など、中水として有用な価値を持つことがあります。上水、中水、下水といった考え方を通じて、水の循環利用についても考慮していくべきです。
防災の日だけでなく、常に災害が発生した場合の対策を考え、想像力を駆使して備えることが重要です。