住まいと暮らしのQ&A

東日本大震災から14年。「災害に備える」ために、私たちができること

あの東日本大震災から14年が経ちました。この年月の中で、私たちはどれほどの教訓を生かせているのでしょうか。3月11日を迎える今こそ、改めて考えてみましょう。

過去の災害から学ぶ

内閣府の防災情報ページには、震災の教訓がまとめられています。寺田寅彦の『津波と人間』には、「自然は過去の習慣に忠実である」という言葉があります。災害を防ぐためには、過去の出来事をしっかり記憶し、備え続けることが大切です。

阪神・淡路大震災をきっかけに、建築基準法が改正され、建物の耐震性能は向上しました。その結果、東日本大震災や熊本地震では圧死する人の数が減ったと言われています。しかし、すべての住宅で耐震補強が進んでいるわけではなく、能登半島地震では約4割の方が建物の倒壊によって亡くなったと報告されています。経済的な事情や年齢の問題で、耐震補強が難しいケースも多いのかもしれません。

複合災害への備え

今後、耐震性の低い住宅が空き家になり、地震が発生すると倒壊する危険性が高まると考えられます。それによって、歩行者や通行車両を巻き込んでしまう可能性もありますし、救援活動の妨げになるかもしれません。さらに、火災が発生するリスクもあります。関東大震災では、大規模な火災が発生し、「火災旋風」と呼ばれる現象が110回以上も観測されたと言われています。炎や熱風が渦を巻き、火の粉を遠くまで飛ばすことで被害が拡大したのです。

私たちが住んでいる町の特性や、災害リスク、これまでの歴史をしっかり理解して備えていくことが大切ですね。地震による二次災害として、液状化、津波、火災、土砂崩れなどが挙げられます。また、異常気象が続く今の時代では、猛暑の中での地震や、台風が近づいているときの地震、大雪の日の地震など、複数の災害が重なる「複合災害」にも注意が必要です。

避難時の健康リスク

新潟県中越地震では、多くの人が避難所に押し寄せ、スペースが足りずに通路さえ確保できない状況になったそうです。やむを得ず車中泊を選ぶ人も増えましたが、長時間同じ姿勢でいることで血流が悪くなり、血栓ができてしまうエコノミークラス症候群で亡くなる人が相次ぎました。また、避難所ではインフルエンザが急速に広がったことも問題となりました。

電力の供給とブラックアウト

北海道胆振東部地震では、苫東厚真火力発電所が地震の影響で停止し、北海道全域が停電する「ブラックアウト」が発生しました。もしこれが真夏や真冬に起きたら、エアコンや暖房が使えず、熱中症や低体温症で命を落とす人が増える可能性があります。

高齢化と災害の影響

日本は高齢化が進んでおり、こうした災害関連死は今後ますます増えていく可能性があります。医療や介護の人手不足も懸念されるところです。だからこそ、過去の災害を忘れず、未来に向けてしっかり備えていくことが大切です。

「もしもの時」に大切な人を守るために、今日からできる備えを始めてみませんか?