住まいと暮らしのQ&A

能登半島地震から1年、阪神淡路大震災から30年。巳年に考える防災の知恵と再生の力

2025年巳年。蛇は何度も脱皮して若返ることから、再生と不死身のシンボルとされています。昔から蛇の皮は解熱剤や関節炎に効き、血は肺病、脂肪は強壮に良いとされ、黒焼きやアルコール漬けなどで強壮剤として使われてきました。
また、蛇は古来より水界の神聖な生物とされ、水の神として信仰されてきました。そのため、ただならぬ呪力を持つと考えられ、家の守護神として財産を守る存在ともされています。「蛇の皮を財布に入れておくとお金が貯まる」「蔵の蛇を殺すと貧乏になる」といった俗説もあり、蛇と金運には深い縁があるようです。
ちなみに、世界保健機関(WHO)のマークには蛇が描かれており、古代エジプトのツタンカーメン王の黄金のマスクにもコブラが装飾されています。

防災において、私たちも蛇の脱皮のように進化し続けましょう

2025年1月1日で能登半島地震から1年、1月17日で阪神淡路大震災から30年を迎えます。私たちは、こうした大災害から学んだ教訓を自分たちの防災対策に役立てるべきです。そして、日本全体の防災力が向上していくことを期待したいと思います。蛇の脱皮のように、私たちも進化し続けなければなりません。

能登半島地震では、半島型地震の復興の難しさを学びました。山が海までせり出している地形では、道路が寸断されると交通手段が失われ、地域が孤立します。また、ライフラインの復旧にも多くの時間を要します。そのため、水や食料、電気を自給自足するサバイバルが必要となります。

阪神淡路大震災では、圧死による犠牲者が多く発生しました。この教訓から、住宅選びで最も重要なのは耐震性能であると認識されるようになりました。また、家具の転倒を防ぐ耐震金物や制震材の普及も進みました。

停電が解消され電気が復旧すると、通電火災が多発しました。転倒した暖房機や断線したコードが原因で発生した火災が多数ありました。神戸市内では175件の火災で7,386棟が焼失し、通電火災が原因と特定された建物火災の約6割に及びました。初期消火に成功したのは全体の4割に過ぎませんでした。特に乾燥し、強風が吹く冬には、強風にあおられた炎がとぐろを巻く蛇のように火災旋風となり、街を飲み込んでいきました。

現在、老朽家屋や空き家の増加、高齢者の増加といった社会問題が、火災リスクを高めています。これらは個々で対応するのが困難な課題として山積しています。また、行政の財源不足や地域のつながりの希薄化により、防災力が低下する懸念もあります。このような課題を解決できるのかが問われています。

住宅の築年数や性能がほぼ同等である新しい分譲地のように、地域全体の防災力を同等に高めていくことが、我が家を守る「要」となるでしょう。

乾燥する時期は火の回りが早く、ボヤが大火事に発展しやすくなります。火災を防ぐためにも、火を扱う場所の大掃除が重要です。
汚れ防止用のフィルターは定期的に交換しないと、油を吸って目詰まりし、換気性能が落ちるだけでなく、火が付きやすくなります。
また、換気扇周辺にある電源の油汚れはトラッキング火災の原因にもなります。洗剤をスプレーする際には危険を伴いますので、慎重に掃除をおこないましょう。