住まいと暮らしのQ&A

ペットが暮らしやすい住環境と高齢化問題を考える

動物王国といえば、昭和世代の私は『ムツゴロウとゆかいな仲間たち 動物王国』を思い浮かべます。クマやキツネ、馬など、さまざまな動物の生態を教えてくれた、まるでブラウン管の中の動物園でした。
令和では『坂上どうぶつ王国』が、犬や猫の保護活動を通じて命の大切さを伝えています。
現在、日本でペットを飼っている人は約3割で、その内訳は犬、次いで猫が多いです。ペットを飼っている人が気にすることの第1位は、病気やけがをしないかどうかのようです。

ペットと買い主の高齢化。飼育と介護。暮らしやすい住まいとは

家の中は意外と危険がいっぱいあります。玄関や階段、和室などの家の部位による段差、ソファや椅子といった家具の段差が該当します。短足種にとっては、この段差による怪我がヘルニアや変形性関節症につながる可能性があります。また、人と同じように花粉症や皮膚炎もあり、住まいの空調管理が重要になります。暑い日が続くと、家の中でも熱中症のリスクが高まるため、24時間エアコンの稼働が欠かせません。もし停電になったら大変です。

そして、高齢化の問題です。我が家(コラム執筆者)の猫は15歳で高齢化しており、糖尿病のため毎日朝晩のインスリン注射が欠かせません。効きすぎたときの低血糖症は命に関わるため、細心の注意が必要です。また、変形性関節症の影響で、昔のように跳び跳ねることができなくなりました。
今後は歩行困難、排せつ困難、認知症などのリスクも考えられます。おむつなどの排泄対策や徘徊対策も必要になるでしょう。

猫の状態を把握するために、見守り用のペンダントやトイレを導入し、スマホでさまざまなデータを確認できるようにしています。排尿や排便の回数や量、食事や水を飲む回数、寝る・走る・歩くなどの活動も「見える化」し、体温や室温も分かります。離れていても状態が把握できる安心感は何にも代えがたいです。異常な値を早期に発見することで、早めの対処が可能になります。

人以上に住環境を整え、普段通りの生活を長く続けられるよう、また加齢に伴う機能低下にも対応できる住まいを考える必要があります。
高齢者が高齢のペットを飼育することは、想像以上に大変なことです。自分自身の体も思うように動かない中での老老介護は、過酷なものになるでしょう。災害時にペットの飼育を続けるためにも、普段からの準備や備蓄(水、食料、電気)が必要です。

人もペットも高齢化を迎えるとき、住まいや設備がその負担を少しでも軽減し、幸せな時間を少しでも長く続けられるように願っています。